カテゴリ:
 パーキンソンなどの運動障害では、神経や筋の仕組みが崩れ、身体がこわばって動きづらくなることがあります。経過が長くなると関節が固くなったり立ち座りや歩くことが難しくなってきます。リハビリでは、ここで遭遇する「身体がこわばってうごきづらい」というお困りごとをサポートします。神経や筋の仕組みに対して、関節への運動の刺激で、本来の身体の動きを再び呼び起こしていきます。

 疾病により、大脳からの意図的な運動指令が伝わりにくくなります。その時に、固縮や寡動また無動という動きづらい現象が現れます。この状態で、特に特徴的なこととして、動かそうと意識するとかえってうごかしづらくなります。

 運動指令は、一つの系統だけではありません。いくつかの系統があり、複雑に関係しながら運動はコントロールされています。リハビリでは、問題のある経路を無理に改善しようとするだけでなく、別の系統の働きにアプローチして補うことがあります。残存している別の経路の機能を高め、全体として動作能力を補おうという考え方です。

 神経学の研究成果により、ヒトには生得的に備わっている「手を伸ばす」「身体を支える」「脚を運ぶ」という動くための機能があるといわれています。この機能は、成長とともに高次の運動制御に統合され、徐々に使われなくなります。この使われていない「生得的な動くための機能」を、身体の動きの運動指令の前面に引き出すことにつながるのです。

 具体的なアプローチには、順序に沿った運動があります。①まず、基盤の「動きの感覚」を関節運動感覚として、刺激を入力します。対象となる方の関節を、アプローチするセラピストが動かし、関節の動く感覚を感じ取っていただきます。②続いて、その運動刺激に対し、使われていない系統からの反応として、筋の活動が出現してきます。個々の筋の活動をつなげて、「身体を支える」また「脚を運ぶ」運動を引き出します。この運動は、強い力や重い負荷ではなく、ごく微量な強さの力ですので、第3者の見た目には、ふわふわと手足を動かしているくらいにしか見えません。③この次の段階で、実際の動作の一部分から、運動動作の練習をします。歩く時の足の出し方や支え方の練習です。④そして、さらに進むと、実際の歩く練習に移っていきます。

 リハビリというと、汗をかくようなトレーニングや、息があがるような運動を想像されるかと思われます。しかし、弱ったものを強くする運動だけでなく、残存している機能呼び起こすことも、リハビリです。

眠っていたものを呼び起こすときには、優しく、そっと、語り掛けるように

強く押し出すのではなく、身体が思い出すのを待ちながら

これもまた、パーキンソンの運動障害への大切なアプローチの一つです。


眠っていたスイセン。優しく見守り、そっと待てば、思い出したかのように蕾を出します。


20260214-newsletter_illustration